ご存じの方も多いかもしれませんが、会社の近くには日本武道館が建っています。今まで私は中々そこに行く機会がなく、通勤時になんとなく眺める建物として捉えていました。しかし最近足を運ぶ機会が増え、そこで様々な感動を得る経験をしました。なので今回のコラムは、個人の主観で日本武道館にスポットを当てたいと思います。

正面からみる武道館

日本武道館が建てられたのは1964年、設計は建築家・山田守率いる山田守建築事務所が行いました。

15,000人の観客を収容しその視線が最長40m以内となるよう、内径80mの正八角形にまとめられた平面形状と、富士山の曲線をイメージしたと言われる緩やかな勾配を持った屋根に特徴があります。

何故八角形かは武道に関係しているようです。君主が南向きに座り、東西から選手が入場するというように、武道と方位には密接な関係があり、このような意図を踏まえ、最も適した形が八角形であったと言われています。

屋根の上に輝く黄金の玉ねぎは「擬宝珠(ぎぼし)」と言われる武道館のシンボルです。もともとは橋の欄干、神社、寺院などに付けられる飾りですが、魔除けの意味を持つことから屋根の頂点に置かれたと言われています。

会社から見る 屋根と玉ねぎ

今は令和の大改修を経て、玉ねぎと大屋根はきれいにライトアップされており、コンサートに向かう人々と会社帰りのサラリーマンが行き交う様子を照らしています。

私がそこに初めて足を運んだのは、子供の剣道の大会の付き添いでした。今までなんとなく眺めていただけの門を実際にくぐった時の感動たるや。

門も建物も近づいてみるととても大きく、スマホのカメラに収まりきれませんでした。

正面の門

門の説明書きがありました。

正面入り口

エントランスは天井が低いイメージですが、ルーバー天井で照明が隠れていて、柔らかい雰囲気が好印象でした。

 

改修されてトイレはピカピカです!

入るとトイレ内は一方通行のようで、入口と出口でドギマギする人もチラホラ見受けられました。

改修では、設計者山口守氏のこだわりだったガラスブロックが多用されたとのことです。皆さんにもガラスブロックを見つけた際は山口守氏を感じてもらえたらと思います。

アリーナに入ると、天井中央に国旗が掲げてあるのが一番に目に飛び込んできます。

天井形状(デザイン)は何をモチーフにしているのでしょう。竣工当時の形を残すために補強をしているみたいです。個人的には薔薇のようでもあり波のようでもありとても美しいと感じました。壮大さも感じてとても好印象でした。

アリーナ天井

観客席は最上階で周回できるようになっており、小さな子どもたちが永遠にグルグルと走り回っていました。

改修にて設置された車椅子席などもありますが、一般の観客席はとにかく急勾配で階段なども手すりがなく怖かったです。ただ、急勾配のおかげで(?)かなり上の席からでも試合はよく見えました。

大会開会式の様子

全日本剣道選手権大会の観戦で足を運んだ時は、選手が技を出す時の発声や、1本決めた時の会場のどよめき、観客の拍手を肌で感じられました。まさに会場が一体となる感覚でした。コンサートホールとして使用されているのも納得の音響です。

全日本選手権の様子

1日中試合を見ていられない一番下の子の手を引いて北の丸公園をお散歩したり、スワンボートにも乗りました。改修時に増築されたレストランでソフトクリームを食べたり、周囲の環境も楽しめました。

北の丸公園の景色

スワンボートから

アイスクリームを食べたカフェ

とても古い建物なのに古臭い感じを受けないのは、設計者が素晴らしかっただけではなく大切に改修や補修が重ねられているからだと感じました。

日本武道館は私にとって足を運ぶたびに感動をもらえる場所です。子供が緊張した面持ちで会場入りをする横顔を見送り、緊張で押しつぶされそうになりながら精一杯声を出し試合をする背中を必死で応援しました。

横からみる武道館

今後も、ずっと大切にしてほしい建物です。

今年の夏もまた、子供の試合の付き添いで日本武道館に足を運びます。

とても楽しみにしています。